コラム

胃がん

胃がんとは

胃がんとは胃壁の内側をおおう粘膜の細胞の遺伝子が、なんらかの原因で変異を起こすことによって発生する病気です。がん細胞は正常な細胞と異なり無秩序に増殖し、塊(腫瘍)を形成し粘膜下層、固有筋層、漿膜へと胃壁深部にと深く広がって行きます。さらに病気が進むと胃壁外のおなかの中に散らばったり(腹膜播種)、胃に接している膵臓、大腸、肝臓等に広がったり(浸潤)、リンパ管や血管に入り込んでリンパ節や肝臓など他の臓器に移動し、新たな腫瘍をつくったりします(転移)。胃がんが粘膜から粘膜下層までにとどまっている状態を早期胃がん、固有筋層より深く進んだものを進行胃がんと分類します。

疫学

1990年代までは日本人のがんと診断された人のうち、胃がんは罹患率(かかった人)、死亡率とも第1位でした。しかし2021年の統計では、全がんの中で胃がんの罹患率は男女とも4位となり減少してきています。ただし高齢者人口の増加により罹患者数は近年横ばいに推移しています。実際に胃がんになる人は男性では11人に1人、女性では23人に1人と言われており、特に50歳以上で罹患率が高くなります。(令和3年全国がん登録罹患数・率報告より)
近年ピロリ菌感染者の減少、検診などで早期発見、早期治療、ピロリ菌の除菌治療など医療技術の進歩によって胃がんの死亡率は減少し、男性では第3位、女性では第5位です。(2023年の人口動態統計より)

原因

胃がんの発生リスクを高める要因としてヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリという)の感染によるものや、喫煙、多量の飲酒、塩分の高い食事、ストレスなどの生活習慣が影響すると考えられています。これらの要因により胃の粘膜に炎症が起こり、さらに胃がんへと進展すると言われています。

胃がん患者の原因の9割以上はピロリ菌の感染によるものと考えられており、また、ピロリ菌感染者は非感染者に比較して胃がんのリスクは5倍です。

症状

早い段階では自覚症状はほとんどありません。
進行した胃がんの主な症状は、みぞおちの痛み、不快感、腹部膨満感、吐き気、胸やけ、食欲不振、食べ物のつかえ、黒色便、動悸、息切れ、ふらつき、めまい、体重減少などです。

検査

胃がんの検査は胃バリウム検査もしくは上部消化管内視鏡検査です。
胃がんと診断された場合、リンパ節転移や他臓器への転移の有無など病気の広がりを調べるために造影剤を使ったCT検査が行われます。場合によってMRI検査やPET検査を行うこともあります。さらに、進行した胃がんで腹膜播種や浸潤が疑われる場合は注腸造影検査・大腸内視鏡検査、審査腹腔鏡検査(全身麻酔でお腹に小さな穴を開け、細い内視鏡でお腹の中の腹膜播種を観察する検査)を行います。
また胃がんそのものを見つけ出す検査ではないものの胃がんが発生しやすい状態かどうかを判別する事ができるABC検査は、血液検査で簡便に行う事ができ、自分が胃がんになりやすいかどうか知りたい人や胃内視鏡検査や胃バリウム検査に抵抗がある人にとって有効な検査法です。

治療

胃がんが粘膜にとどまって転移の可能性がない場合は内視鏡治療を行います。遠隔転移がなく、内視鏡治療が難しい場合は外科治療(手術)が推奨されます。開腹手術や腹腔鏡下手術でがんを取りきる事が難しい進行・再発胃がんの治療や術後の再発を予防する目的とした治療として化学療法、免疫療法があります。
その他緩和ケア、支持療法があります。

予防

胃がんの予防には減塩の食事、バランスの良い食事、野菜や果物の摂取が効果的と言われています。禁煙、お酒を控える、運動も有効です。
またピロリ菌の除菌治療は胃がんの発生リスクを大幅に下げるので、ピロリ菌感染者は除菌をお勧めします。除菌が成功すると胃がんの発生リスクは感染者の3分の1に抑制されます。ただ除菌に成功しても胃がん発生リスクは非感染者よりも高いため、ピロリ菌に感染していた人は定期的に胃の検診を受ける事が大切です。

現在、厚生労働省のがん検診の指針として各市町村の事業として行われる胃がん検診の対象者は男女共に50歳以上の健康な人で、2年に1回検診を受けることが指標とされています。
胃がん検診は早期発見、早期治療につながり、胃がんで亡くなることを防ぐことができるので、定期的に受ける事が大切です。

医療機関: 社会医療法人社団 光仁会 第一病院
連絡先: TEL: 03-3607-0007 / FAX: 03-3609-2260

医師情報

おおかわ たくや

大川 卓也

診療科

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